『十三人の刺客』(2010年 日本映画)
『十三人の刺客』をシネマ・フロンティアで見てきた。
黒沢明の『七人の侍』にインスパイアされ、1963年に工藤栄一監督が作成したのがオリジナルの『十三人の刺客』。『七人の侍』のヒューマニズムと一線を画し、情緒的なものをそぎ落としたオリジナルは、暗殺というテーマと同調し、残酷でクールな傑作だった。
今回の三池崇史の『十三人の刺客』はどうか。
まずは、夜の薄暗い室内、江戸幕府老中が島村新左衛門(役所広司)と対するシーンのロウソクの揺らめく光に島村の顔の陰影が動くカメラがなんとも良い。『バリーリンドン』の撮影の記憶が浮かびあがってくる。屋内の暗い絵から、木曽の山中を通り、屋外の絵に展開していく中で、最初のロウソクの揺らめきが物語の陰影と重なっていく。
オリジナルが畏敬を込めながらそぎ落とした『七人の侍』の情念、情緒を新しい『十三人の刺客』に取り入れ、黒沢的なものへのオマージュを込めながら新しい『十三人の侍』は作られている。従って、ラストのシーンの時間をたっぷり取りながら、江戸末期の最後の侍の心情を描き出そうとしている。そこに13人目の刺客が誰なのかという仕掛けを作り、明らかに『七人の侍』の菊千代的な人物が入ってきて、物語の最後の布石となる。しかし、ラストは長すぎるのではないか。もっとクールな終わり方の方が良かった。
前半は稲垣吾郎の殿様の描写が凄まじく、稲垣吾郎の怪演ともいっても良い演技が物語を支えている。配役がこの映画を成功させた要因であり、十三人の役者たちの中で六角精児と古田新太のキャスティングは見事で、映画らしい映画としての成功を導き出している。また、松方弘樹の殺陣は素晴らしい。戦いが続き、最後には身体がふらっとする感じが見事だ。時代劇の東映の最後のスターの凄さが分かる。
見ごたえたっぷりの映画だ。
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コメント
面白かったですよね。
カメラワークとかあまりよくわからないけど、時代劇を見ない私でさえ退屈せずに見終わりました。
あんな殿、殺されて当然と思うような狂気を帯びたごろーちゃんでしたね。
犬食いの食事シーンなんてびっくりで。
投稿: kumiko | 2010年10月 3日 (日) 19時12分
コメント、ありがとうございます。
おもしろかった映画があれば、教えてください。
投稿: kimura | 2010年10月 3日 (日) 21時25分